井上ひさしと北杜夫の二人には接点がないやうに見えるが、探してみると意外とある。以下私が知ってゐる範囲で挙げる。
- 井上ひさしは北杜夫の二つの小説に解説を書いてゐる。(角川文庫『船乗りクプクプの冒険』と新潮文庫『高みの見物』)
- 井上ひさしは上智大学の講演で北杜夫の『母の影』(新潮社)に言及してゐる。(新潮新書『日本語教室』)
- 【追記 2022年12月17日】井上ひさしは北杜夫の『輝ける碧き空の下で』に言及してゐる。(岩波書店『まるまる徹夜で読み通す』)
- 北杜夫はオーストラリアに行った時、井上ひさしがちょうどキャンベラのオーストラリア国立大学で教へてゐるのを思ひ出して電話をかけたが繋がらなかった。(「井上ひさし氏のこと」新潮文庫『見知らぬ国へ』所收)
- 北杜夫が躁病の時、自宅にマンボウ・マブセ共和国の建国をして文華勲章を星新一に、マンボウ賞を井上ひさしに、マブゼ賞を奥野健男に授けた。おそらく建国を思ひついたのは井上ひさしの吉里吉里人から。
ざっとこれくらゐか。