個人的トロピカル~ジュ!プリキュアのベスト回

まへがき

 プリキュアが好きな友人や知りあひが身近にふたりゐる。他方私はプリキュアに関心がないのだが、新型ウイルスでひまだったので今年は「トロピカル~ジュ!プリキュアを見てみた。
 現時点でまだトロプリは完結してゐないが、年内の総括として、いままでの回のうち少しでも気に入った回をあげておく。これはトロプリのみにおける相対的評価であり、他作品を含んだ相対的評価ではない。私はほかのプリキュアをひとつも見たことがない。完結したら追記するつもりです。

少しでも気に入った回ピックアップ

  • 第15話「みのりがローラで、ローラがみのり!?」
     ローラとみのりんセンパイが入れ替ってしまふ話。入れ替はることで両者が大変いきいきしてゐた。入れ替はる原因はもっとのちの第35話で明かされる。
  • 第19話「まなつパニック! 学校の七不思議!」
     エルダちゃん回。エルダがプリキュアに接するうち、彼女のプリキュアに対する印象は変っていったかもしれない。
  • 第22話「ヒミツの大冒険! 人魚の宝を探せ!」
     人魚伝説が再現されるところがよい。
  • 第23話「南乃祭り! 教えて、ローラの願いごと!」
     第1話から舞台がおそらく沖縄なのではないかと思はせる南国なのにもかかはらず、いままで南国要素が前面に押し出されたことはなかった。しかしこの回ではしっかりゴーヤーが登場して、ああやはり南国なんだなと思ったのだった。
  • 第29話「甦る伝説! プリキュアおめかしアップ!」
     作画回。とにかく動きまはる。ヤラネーダが水なので戦ひ方の難易度が増してゐる。
  • 第33話「Viva! 10本立てDEトロピカれ!」
     ひとつのプリキュアを通して見たのはトロプリが初めてだから知らなかったのだが、プリキュアには決ってイカレ回といふものが存在するらしい。この回がさうである。のっけからみのりんセンパイが世にも奇妙な物語タモリ、さらにイヤミのシェー、映画関係でハートキャッチプリキュア!もぶちこんできた。(変身シーンつき。)
  • 第35話「わくわくハロウィン! 負けるな、まなつ!」
     私のおすすめ回のひとつ。
     学校を盛りあげる役目としてトロピカる部が板についてきたと思った回。戦闘のまなつの選択も必見。
  • 第38話「決めろ! あすかの友情スマッシュ!」
     私のおすすめ回のひとつ。
     実はこの回はかなり感心しその日は二度見てしまった。普段の回とくらべてぬきんでる脚本だと思った。もう一度やりなほしてみるかといふ、第5話のあすかセンパイの心持は伏線として、第31話「トラブル列車! あすかの修学旅行!」で原因が明かされる。しかし第31話は消化不良で、第38話はそれを挽回したと思ふ。しかも第37話「人魚の記憶! 海のリングを取り戻せ!」で、まなつの父の言った言葉が反映されてゐた。高校に向けてあきらめずに参考書を買って勉強しようといふ態度もよかった。
  • 第40話「紡げ! みのりの新たな物語(ストーリー)!」
     私のおすすめ回のひとつ。
     展開がいいと思ふ。みのりんセンパイは文学好きといふよりは、神祕なもの好きと言ったほうが合ってゐる。それはいままでの回を見ても明らか。第40話を見るまへは地味な回だらうなと思ってゐたが、パパイア農園を訪れようといふまなつのポジティヴな行動により、実はみのりんセンパイがパパイヤを食べたことがないと判明する。この場面でみのりんセンパイの一面が見れたやうな気がする。

あとがき

 ほかのプリキュア作品がどうだったのかは知らないが、トロプリはキャラクターの変顔が多かったと思ふ。
 また、私は作品の中盤までずっと違和感をいだいてゐた。その正体はOPのテンションが高いのに対して、全体としてゆったりとしてゐる回があったことである。OPでのイメージを持ちつづけてゐると、本篇が妙に間延びしてると感じたことはしばしばあった。
 今年は例年にくらべてトロプリ以外にも私は深夜枠のアニメを多く見た。他作品とくらべることはしないが、あへて言へば見たアニメのなかではトロプリが一段と見やすかった。ひろく子供たちを対象にしてゐるためか、設定がごたごたとしてをらず、わりあひ現実に則した内容だったことが肩が張らずに見れた理由かもしれない。

【追記 2022年1月19日】
 さんざ悪の親玉の威厳をにほはせてきたあとまはしの魔女が、終盤あっけなく退場してしまった。伝説のプリキュアと邂逅する感動シーンなのはいいが、もっと丁寧な伏線を張ったほうがよかったと思ふ。
 「美少女戦士セーラームーン」を見たら、プリキュアセーラームーンの影響下にあると感じた。トロプリのキャラクターの変顔も、セーラームーンを見ればこれがやりたかったのかなと推測できる。

【追記 2022年1月31日】
 最終話を見た。劇を見にきた人びとの中にはあすかセンパイのお父さんがゐた。ローラが人魚だとカミングアウトする場面ではみな啞然としてゐたが、結局記憶は消去されてしまふのでまあいいかと思った。最後の、記憶を失ってから再会するくだりでは、第1話のリップが思ひ出すきっかけになった。再会するのは哀しい雰囲気を避けるためだらう。エルダちゃんの持ってゐた人形は第19話に出てきたもの。
 不満点をのべれば、人魚の世界がどんなところなのか、くはしく掘り下げたほうがよかったし、各プリキュアの個人技の見せ場が少かったと思ふ。
 次回作の主題はごはんらしい。道理で妖精が米米言ってゐて、なんだか井上ひさしの『コメの話』を思ひ出した。