『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』は高校の時に文藝部の部長がすすめてゐて、読んだら泣いたと言ってゐた。当時文藝部には村上春樹好きがふたりゐた。『海辺のカフカ』の話をすると、あれはちょっと……とあからさまに言葉をにごして、ははあ性…
logmi.jp 四年前の飯間浩明のトークイベントを読んでゐたら、飯間はかう言ってゐた。 ちょうどその時期に、新宿で「語彙・辞書研究会」という研究者の集まりがあったんです。そこで、「紙の辞書に未来はあるか」というテーマで、研究者たちが討論をしていま…
中学の国語教科書で定番の小説に、ヘッセの少年の日の思ひ出があって、やままゆがを粉々にされたエーミールが、さうか、さうか、つまり君はそんなやつなんだなと言ふ。このせりふが中学生のあひだで飛ぶやうにはやった。どうやら癪に障る厭味ったらしいせり…
評判がいいやうなので新潮日本語漢字辞典を購入したきのふ、思ひ出したことがあった。 以前にくらべ私は漢字に大きな関心を払ってゐない。他方、友人のKは「釁キン/ちぬる」「靉靆アイタイ」といった通用しない、やたらむつかしい漢字を使ひたがる。これは…
世間的には、あるいはまはりの人には評価が高いけれど、私にはわからない本といふのはある。小谷野敦も小池昌代と対談して『この名作がわからない』(二見書房)を出した。全体的に小谷野のわからない小説をわかる小池が説明する体裁でおもしろかったのだが…
中学のころ私は井上ひさしの『東京セブンローズ』を読んで鹽だの臺所だのまるでちんぷんかんぷんだった。米原万里は書評で旧字がすらすら頭に入ると書いてゐたが、鹽を見て塩だと認知できる人は少いだらう。旧字は世間に浸透してゐない。 しかしある程度は世…
まへがき プリキュアが好きな友人や知りあひが身近にふたりゐる。他方私はプリキュアに関心がないのだが、新型ウイルスでひまだったので今年は「トロピカル~ジュ!プリキュア」を見てみた。 現時点でまだトロプリは完結してゐないが、年内の総括として、い…
ワンセグをつけたらフジテレビの林修のニッポンドリルといふ番組の再放送があって、ちょっと見てみた。日本語についての問題を芸人らが考へて林が解説する流れだった。 「一ヶ月などのヶは何か」といふ主旨の問題があった。千鳥のノブや麒麟の川島が当てずっ…
けふ図書館へ行って国語辞書の棚を見たら、夏木広介『こんな国語辞典は使えない』(洋泉社)といふ本が目についた。絶版の小学館日本語新辞典を目当てに、きのふ中央図書館へ行ったら、西山里見『講談社『類語大辞典』の研究 ――辞書がこんなに杜撰でいいかし…
たしか石川淳全集(筑摩書房)の『狂風記』の月報に、ドイツ文学者の池内紀が文章を寄せてゐた。友人が石川に大変な影響を受け、文章が石川淳そっくりだったと書かれてゐた。私も最初はそれと似た状態だったから、見る者が見れば、ああこれに影響を受けたん…
何年前のことだったか忘れてしまったが、いとこがあるアニメを見せてくれた。いまでも目に焼きついてゐる場面がある。ある生徒が階段から落ち、踊り場にころがってゐた傘の先(石突き)に首を突き刺して死んでしまふのである。鋭利な尖端から血がどくどく流…
今年の夏だったか、ニコニコ動画で金魚光線といふアカウントの「とべない深海魚」を聞いてみたところ、感心し繰返し聞いてしまったことがある。これは「クーネルエンゲイザー」をリスペクトした曲ではないかと私は思ってゐた。しかし、先日ほかにもリスペク…
【追記 2023年2月16日】この文章を補足して書き直す必要があると、まへまへから感じてゐた。今回、三島由紀夫の『文章読本』(中公文庫)を読んだら適切な補足が浮かんだので、加筆訂正しておく。 まへがき 大杉の《日本語における「文字中心主義」》とは 「…
古川日出男の『平家物語 犬王の巻』(河出書房新社)を湯浅政明がアニメ映画化すると発表したのは2019年のことだ。先日PVができて、2022年に公開されることになった。 しかし先程の報を聞いておどろいた。これとは別のアニメ版「平家物語」をフジテレビで放…